私の中に住む女/宣井龍人
夜も更けて、マンションの落ち着いた寝室に、今日も暗闇が訪れた。
いつものように出窓のカーテンを閉めると、ベッドに安楽を求めていく。
私の意識は奥深く沈み込み、静寂が体を大きく包み込んだ。
何も感じるわけでもなく、酸素と二酸化炭素の交換と心臓の鼓動だけが規則正しく行われていた。
睡眠は人が最も生物らしさを感じる時かもしれない。
そんななか、やがて私は微かな気配を感じていた。
眠りの居心地の良さのため、増してくる気配に抵抗していたが、徐々に徐々に意識が再び創生されてきた。
私の目には、おぼろげながら形らしいものが見えてきて、ついには焦点が見慣れない映像を捕らえきった。
人が、それも
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