時の風景/ヒヤシンス
 

 裏通りのささやきがツンと耳に触る夜、
 僕は一篇の詩を描いた。
 ネガティブが開いてゆくような感覚をもって。
 けっしてポジティブにはならないような。
 
 量ることの出来ない悲しみはかりそめに通り過ぎてゆく。
 時の風景は瞬間ごとに移り変わって七色の色彩を放っている。
 街のささやきも風景に溶け込んで今はもう聞こえない。
 夜が昼になれば僕の思考も変わるだろうか。

 悲しみは夜のものではない。
 楽しみは昼のものではない。
 すべては時の風景に凭れている。

 そんな風景の中で僕は僕の内面を見つめる。
 少しも見逃さないように。
 描きあげた詩の断片は時の風景を映す鏡である。
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