あっちむいてホイ/末松 努
通りすがりも 同僚も 家族も
一対一でも 多数同士でも
「あっちむいてホイ」に興じている
電波上の 同じ画面を 見続けていた としても
目を合わせることは 禁忌なのだ
抱擁感さえも失い どこからともなく いつということもなく
向けられる視線に わたしたちは
「あっちむいてホイ」と唱えられては 身動きを隠す
その間にも 中継されない委員会は 開かれていて
夕暮れが迎えなくなり 疲れ切った闇の手招きに
しぶしぶ帰宅した後の夕餉にも その解説はなかった
電子レンジの呼び鈴が 法案成立を告げる
ラップを剥ぎ 作り笑いのおかずが あらわになる
ホウレンソウを残したまま 眠った子
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