そっと君から信じてもらう光景に/りゅうのあくび
 
ほんとうの自分のことを
わかってもらうことは
誰かをそっとこころのなかで
信じるということでした

あの日を 
僕らが生きていること
すでに静かな風が通りすぎるように
深い森林と広い草原が夕暮れと横たわる
うなずきながら橙色に焼ける
永い地平線の違いを
ふたりでそっと眺めることでした

だから
例えば夜明け前に
深い森林のなかで
そっと佇んでいたとしても
真夜中の広い草原のなかで
ふとほんとうの星空を探していたとしても

あの日を 
僕らが生きていること
きっと小さな恋のあいだに
うっとりした夜空のなかにいる
ずいぶんと静かに風はささやいて
僕らはこころのなかで
焚き火を灯すことができる
ほんとうの自分のことを
そっと君から信じてもらう光景に

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