可否道その5/st
むと
ボコボコと音がして
お湯はフラスコに少し残して
ロートへと上がってゆく
蒸気圧によるものと
わかっていても おもしろい
まるで魔法のような光景に
ひきこまれる
ロートの上部に浮いた粉を
竹べらでほぐしてやる
ロートの中の茶色の泡が
薄茶色となり
やや白色を帯びたあたりで
抽出完了となる
アルコールランプを消すと
ロートからフラスコに
出来上がったコーヒーが降りてくる
サイホンによる抽出は
まるで化学の実験のようで
何度みても 楽しいものだ
その味はというと
ロート内の温度が
自然に適正な温度の
90度くらいになるので
失敗の少ない トップクラスの味となる
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