nobody John/やまうちあつし
 
名もない詩人の
名もない歌を
名もない人が読むだろう

感想は言わないだろう
いいや、言えないだろう
言葉ではないものが
深いところに旅立った後だから

名もない宿のソファには
青い手袋
それだけが
行き先を知っている

名もないあなたに
名もない花を

黒い人にも
白い人にも
黄色い人にも
こりない人にも

冷たい雨から身を守る
屋根がありますように

そしてできることなら
誰にも伝わるあいさつが
どこかで生まれますように

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