さようなら言葉よ/もり
 
さようなら 言葉よ
いろいろあったけど
楽しかったぜ お前のせいで
いや、おれのせいか
裸でこのせかいに降り立った
お前をお前のままで
いさせるためには
風はあまりにも冷たく
地面はあまりに固かった
ひとのお下がりを
何のためらいもなく着て
楽しそうなお前が
たぶん相当に
おれは悔しかった
万人受けはしなかったけれど
その憎めない表情はときに
おれ以外の人々も救った
そして 何よりおれのことを
最優先に いちばんに救った
自慢ではあった
誇りではあったのに
自慢だった
誇りだったから
だんだんと距離を感じずには
いられなくなった 今
その考えに取り
[次のページ]
戻る   Point(8)