北風の道/星丘涙
風を捕まえることはできない
元通りにならない風景が悲しい
乾いた青空にひび割れた枝先が伸び広がり
鳥たちが飛ばされ流されて行く
凍てつく川面に浮かぶ白鳥が餌を啄んでいるが
枯れすすきが覆いかぶさり
私の心は冷たくなるばかり
川沿いの曲がり角には小さな喫茶店があり
人々は女店主の持て成しに温まっていた
私はガラス越しに羨ましそうに中を覗き
その場を立ち去った
長い冬もあり短い冬もあるのだろうが
つらい時には永遠にこの季節が続く様にも感じる
茜色に染まる長い道を
足を引きずりながら歩いた
心細い夕暮れがガードレールを歪めては伸びて行く
もう歩きたくはないと諦めかけるが
春への憧れだけが背中を押す
北風に吹かれながら
私は歩く
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