蟻が十/
宣井龍人
る現実の人
落雷を受けて目を覚まし愚痴りながら千鳥足になる人
【虚空の朝】
ビロードの口笛を吹きながら
朝日の優しさに消えたおまえ
妖しくこおりついた夢の中に
魂をむさぼり続けたおまえ
ただ瞳に残ったけだるさが
おまえの影に吠えている
【風の向こうに咲いた花】
風の向こうに咲いた花
けして近づくことはない
温かく優しい香りが風に乗る
私はそんな花が好きだ
風の向こうに咲けたなら
そっと君に香りを送ろう
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