仮面/星丘涙
水面に映る醜い顔を見つめ何時も悩んでいた
月夜の晩は表情のない仮面を被り
彼女と踊る
カミングアウトできない素顔に悩み続け
今夜もその顔をひた隠し踊る
しなやかさも体の切れも奪うコンプレックス
でも彼女は彼の苦悩を知っていた
全てを知って彼を愛していた
仮面を捨てたら生き生きした表情が得られるのに
それができないでいた
月夜の晩に城壁に上り彼女は彼に囁いた
「素顔が見たいの」 そしてそっと口づけた
その瞬間 仮面が剥がれ落ち
彼の顔の傷は奇麗に癒やされた
その晩二人はいつまでも軽やかに踊っていた
割れた仮面が床に落ちていた
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