短詩2篇/白島真
「笹舟」
ほそくふるえる茎をくわえて吹いてみた
ちいさいころの夕焼けが鳴った
百日紅(さるすべり)のあった空き地
少年探偵団のぼくが落とした時間
材木屋のある路地は行き止まり
ふたごの姉妹の尾行はあきらめた
突然の電動カンナの音に若木たちは逃げ
ふたりで編んだ笹舟は
いつもつかえてとまってた
「空」
空が炎える
戦火のない眩ゆさを
ひとは求めているはずなのに
空が炎える
深紅をうつろい染めて
残雪はうつくしい花の体温に溶けて
炎える空は
だれのものですか
うすい花弁は
雪の重さで散りますか
一発の銃声がこころを砕き
温かい指先で だれが
だれが深紅の薄氷を掬いとりますか
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