冬の夕暮れ/星丘涙
 
暮れなずむ冬の街並みを
独り とぼとぼと歩いた

今日は暖かく風も吹いていない

写真家気取りで
街並みを切り取りながら行く

空の赤と青のコントラストの美
街の灯りと生活感の匂いのする家並みは
心を落ち着かせる

足を止め
一日の恵みに感謝を捧げた

いつもと同じ道なのに
どことなく昭和の匂いを感じる 

路地裏を野良猫が横切る 
私も後に続く

辺りは暗くなりつつある

職人さんが仕事を終え
帰り支度をしていた

澄んだ空気の中 空を見上げると
一番星が輝いていた
私はここに居るよと言いたげである

いつの間にか家の手前まで来ていた
夕餉の匂いがする

ふ〜と溜息をついて
家のドアを開けた


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