獣と鬼火/田中修子
 
しなやかな獣のようだきみは

脂肪のわずかなあたたかなからだ
むしゃむしゃごはんをたべ
わたしをむさぼり
疲れたらひっぱたいても起きずに深くねむり
あしたははたらきにゆくのだろう

眠れずにきみの
とがった横顔をみつめる
やわくひややかなわたしは

ゆるくきみにからみつき
体温を奪うかわりに
密やかに灯している

すでに人を過ぎた
青い鬼火
戻る   Point(8)