一度脱いで、またはく/由比良 倖
 
うぞ、と入れてあげると、部屋はある?、というので、僕の部屋をあげる、と答えた。それから僕とたろやんは僕の部屋にあったものをほとんど外に出し、机とベッドだけを残した。そういう訳で僕には寝る場所が無くなって、台所の床で寝ようとしたけれど、何となく布団を敷く気になれず、夜中中テーブルの前でぼんやりしていた。まだ読んでない本が何冊かあったので、それを読みながら気を失ったりした。
 たろやんが家に来てから何日かして、僕が外から帰ってくるとたろやんはいなかった。ベッドは綺麗に整えられていて、クローゼットの中にはたろやんの服が何着か丁寧に折りたたまれて入れられていて、机の上は、文字通りぴかぴかだった。僕は、ぞ
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