シリウス/レタス
罵倒され石を投げつけられ
彼はへこたれなかった
何故ならば
彼には大きな夢が在ったからだ
幼い頃から
透き通った真冬の夜空を眺めては
何時かきっと天空を目指し
ハートランドにたどり着く決意があったからだ
彼の背中の翼は
油気を失い
羽が抜け落ちても
成層圏を目指していた
青い瞳の彼には
青く点滅する天狼星しか見えなかった
今頃はどのあたりで羽ばたいているのだろう
ぼくはたった一人の友だったが
彼は孤独ではないはずだ
青く輝く伴侶を求め
何時かきっと
青白いパルスを言葉に変えて
大願の成就をぼくに送ってくるはずだ
彼の名は ジョバンニ
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