凍る世界に/
レタス
此処には見えない風が吹いている
どうしてなのかぼくには解らない
失った物も失われた物も解らない
石が転がり
葉は失われた
ぼくにはそれしか解らない
落ち葉がトランプのように散らばり
北の風に舞ってゆく
社会という組織から放たれ
自由を得た
渓流の魚のように透明になり
誰にも見つからないようになってしまった
孤独を恐れない存在になってしまったのだ
冬の渓流は冷たく
生死を賭けた世界だが
多分来年の春は迎えられるだろう
戻る
編
削
Point
(9)