レモンジュース・ダイアリー(1)/由比良 倖
は安心した。
「何してたの? 今日は何をするにも気分の乗らない天気ね」
透子は言って、煙草に火を着けた。
「仕事、かなあ。何もせずにぼんやりしてるのがそうなら」
パソコンに向き直って、ふと薬瓶が開いたまま机の脇に置かれているのに気付いて、僕は蓋をして机の引き出しに放り込んだ。
「ふむ。身体は大丈夫なの?」
透子は少し眉を寄せて言った。
「見ての通りだよ」
僕は背もたれから身を乗り出して頭を垂れて、それからまたもとの姿勢に戻った。背もたれをさすった。
「ふらふらしてないよ」
「してるじゃん」
彼女は笑って、ソファを立って、隣の部屋に歩いていった。
「あ、ぼくレモンジュースね」
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