来世/由比良 倖
 
その眼で、その眼で歪な
赤い円を描くのです

咲かなくていい、咲かなくていい

ベランダのプランターに言い聞かせ

私は伝記工場へ向かいます
5バイトほどの容量です
けれど

上書きするふりをして
メモリを投げれば

私は、増殖する

はずなんですけどね



海とか、宇宙とか、笛とか、
揺れている光に、差し出す腕は
落としてしまったので
まるで泣いているような顔をして
いってきます
を言いますけれど、
ドアを開けると、

また誰かの内側で、
やせて青黒い空に、
道路は骨が見えかけてて、
複雑な花畑があります、

誰も笑わせら
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