もぐらたち/
りゅうのあくび
番いのもぐらたちが
ずっと永い冬を越えていく
温かい大地のなかでは
深い秋の湖岸に生える葦の匂いより
次ぐらいに心地よくて
ずっともぐって行くと
遠くまで吠えていた
動物たちやらの魂ですら
よく眠っている
かつて古い森にあった
木漏れ日の匂いもする
もっと
もぐって行くと
ちょうど断崖から
ひょっこりと首を出せる
小さな穴を作ると近くに
苺の花は一輪だけが
顔を出しながら
静かな風に揺れていた
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