心象風景一 きみと/田中修子
1.
ふるい
ふるい人々……
2.
赤い水の中でうずくまる胎児、きみだ
3.
分厚いガラスに閉じ込められて
ゼリーのような水色の
重苦しさの中
少年のきみは自分が苦しいことに
まったく気づいていないようだが
重圧で顔が
ベッチャリとひしゃげている
4.
真っ黒い夜だ
ものすごいように
星がきらめいている
赤、青、白、金に銀
それなのに
制服を着たきみは
いたみやいかりをこらえるような顔で
宝石のひかる空を
表情のない目で
みあげている
頬をさすろうにもあまりにも遠い過去
5.
だれも生きられないような熱せられた砂漠
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