褐色の濃いあたりに/深水遊脚
 
 クリスマスソングを嫌いな理由について考えを巡らせている。なぜそんなことを考えるのかわからない。嫌いなものについてなど考えなければそれで済むし、実際に多くのことはそうしてやり過ごしている。でも嫌いなものであっても、考えずにはいられないものもあるのだ。油断すれば一日の大半がそれで塗り潰されてしまうものがあるのだ。それにいちいちその日の主導権を渡さないためのディフェンスには戦略がいる。嫌いな理由を考えてしまう理由は、言葉にしてみればそんなところ。もっとも理由があって思考があるわけではなく、理由のないことを決してやらないというほどに私は合理的ではないのだけれど。

 嫌いであることに間違いはない。以
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