漆黒に彩られた翼−陽鳥に捧げる唄−/りゅうのあくび
 
   
  

  かつて伝説の神話は
  太陽と宇宙のあいだにあった
  詩神と死神が共に生まれた太古の時代に
  灰色の空には詩神と死神が戯れあうために
  命の手紙を運ぶ陽鳥が飛んでいた
  



いつか死神が云った嘘のように
鳥は鳴く度に喉が渇いていた
寒い朝に太陽を迎えて
太陽が差す黒い影に消える鳥は
詩神ですらも死ぬだろうと想いながら

蒼空へ想いを馳せても
きっと灰色の空に飛び続けるだろう
切ない初冬が過ぎるあの日にも
小さな嵐が過ぎて逝った痕が
胸に痛みとして残りながら
まるで破れて干からびた
薬草の欠片を啄ばむみたいにして

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