漆黒に彩られた翼−陽鳥に捧げる唄−/りゅうのあくび
かつて伝説の神話は
太陽と宇宙のあいだにあった
詩神と死神が共に生まれた太古の時代に
灰色の空には詩神と死神が戯れあうために
命の手紙を運ぶ陽鳥が飛んでいた
いつか死神が云った嘘のように
鳥は鳴く度に喉が渇いていた
寒い朝に太陽を迎えて
太陽が差す黒い影に消える鳥は
詩神ですらも死ぬだろうと想いながら
蒼空へ想いを馳せても
きっと灰色の空に飛び続けるだろう
切ない初冬が過ぎるあの日にも
小さな嵐が過ぎて逝った痕が
胸に痛みとして残りながら
まるで破れて干からびた
薬草の欠片を啄ばむみたいにして
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(4)