まだ部屋のカーテンは空けていないが/天野茂典
 
  ぼくが短い眠りを眠っていたとき
  外は雪がふっていたんだ
  雪のふる夜はことさらにしずかだ
  いちど春に旭川を訪れたことがあるが
  その雪のふり方はもうれつだった
  雪の一片は道路におりようとしてはまい上がり
  何度もそれを食い返し
  空が雪でふさがれてしまうのだった
  今日はこの辺では雪の量が多い
  自宅からデイケアに通うのは無理かもしれない
  足を滑らして骨折でもしたら大変だ
  雪は舐めてかかるものじゃない
  生活者から見ると
  のんびり雪見酒などやっていられまい
  車のスタック
  ダイヤの乱れ
  そうして雪かきなどが待っている
  子供のころは無心で雪と遊んだものだが
  おとなになって
  もうぼくらはそういこころがもてない
  洗濯物も干せないだろう


  まだ部屋のカーテンは空けていないが
  かなりな積雪であることは確かだ



              2005・03・04  

   
   

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