夜想曲/レタス
肝臓が今夜も泣いている
琥珀の液体に侵されて
ぼくも夜毎に泣いている
明日をも知れぬ身体を引きずりながら
一日に300キロカロリーを摂取するだけで
生きて往けるのだろうか
疑問符が脳髄をかすめ
段々と痩せていく胸をそっと撫でると
肋骨がバラバラと浮き出てくる
そうだ
カツ丼を食え
唐揚げを食え
叉焼麺を食え
焼肉を食え
鰻重を食え
カレーライスを食え
と言い聞かせても
どうしようもない身体は
それを受け付けない
死神はぼくの傍らで頬笑んでいる
琥珀の液体を勧めては
ほくそ笑む
骨格が明瞭になる分だけ脳髄が冴え
空の色は深くなり
黄金の旋律が湧いてくる
やがてはやって来る死を
どうやって受け入れたら良いのだろう
答えはあまりにも単純すぎている
生を受け
死に至る
あまりにも明解なことだ
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