白い/由比良 倖
白い。何にも覚えてない。現実、現実、現実、赤くない、高くない、温かくない、現実。感、も無い。すごく寒い思いもしたいのにまるで私は生きてないみたいなんだね。まるで明日も私は生きていないみたいなんだね。まるで私の感情は私を突き抜けてコントロール出来ないみたいなんだね。見放された心は私の底に落ちていったんだね、取り出せるなんて。響いてください。響いてください。君は日が落ちると残酷な食べ物を要求するね。私は、沈黙の中、冗舌な乾きの中。音楽を、浴びせてください。 世界の終わりを見せてください。全ての生命体が終わってしまって私はそれを見ていて、空気の中、笑いながらそれでも私自身には放火出来るのだと震えること。
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