Moon Row Wallker 異聞/アタマナクス
に落ちた
男の愛は理解されなかった
「愛するもの意外皆殺し」
そう呟いて歩き始めた
両の脚が固まり倒れた
全く身動きが取れなかった
凄まじい苦痛に襲われていた
男は罰だと理解した
神の罰だと理解した
そのまま男は固まったまま
巌のように動かない
自ら頑なに動かない
往来の親切な主婦が
話しかけても聞こえぬふり
そのまま動かずそこに在るうちに
誰も男に気をかけなくなった
夏が終わり秋が実り
冬が凍えて春が溶かして
Moon Row Wallker
己で動かずそこにいるのか
しかして動けなくなっているのか
それも分からぬようになり
だんだん表皮は硬くなり
脈拍も消え体温もなく
倒れた人型の石に成った
たまに男に蹴躓いては
舌打ちを鳴らす人がいる
ただそれだけのことだった
Moon Row Wallker
男がもしも起き上がるとき
愛と破壊は同じ意味になる
男を蔑んではならない
男を敬ってはならない
男は今でもそこにあり
いつまでもただあり続ける
ただそれだけのことなのだ
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