感覚/鷲田
 
36度の体温の中には均等なバランスが組み込まれている
それはまるで一段一段の歩みを形作る階段の傾斜のように
着実であり、無難である
命の装億は平然な顔をして日常を過ごしている
森羅万象とその中にある人間の生命は儚くも脆弱なものである
それが本質であり、破天荒は瞬間と交尾する一つの快感でしかない
短命は太いがそれだけ短い
そこにある美しさは繊細で危うい堕落へと誘う甘い蜜の味がする
生きるとは鈍感なまでの強度を備えた弛まぬ歩みなのである

着火した情熱はエナジーを燃やし、整理された事象を破壊しに行く
そう、それは破壊である
日常という政治に対するテロリズムである
熱い、熱い、
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