『透明な花の一生』/葉月 祐
 

時に忘れ去られそうになる
大多数の人々には映らない
この花は

ごく少数の人々の中には
確かな存在をくっきりと残す
少しだけ いいえ
かなり 不思議な花であり

その花びらを風に乗せ
女神のように微笑みながら
美しく優雅な舞いを
披露してみせるのです


そうしてまた
花は
人々の中に
その姿を残していきます

まるで
彼女を認識できる
数少ない人々の記憶の奥底で

ひっそりと
その命を紡いでいくように



  『もしも枯れても
      わたしはあなたの中で
         何度でも芽吹き 咲きましょう』



こうして
一切の色素を持たない透明な花は
いつまでも咲き誇り
生き続けていくのです


人々の心に
見えない種をまきながら
確かな生を紡いで
永遠に咲き続けていきます













                       2016/10/31/

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