『透明な花の一生』/葉月 祐
 



色の無い花が咲きました

香りも無ければ
命を繋ぐ力も持たない
少しだけ
孤独に見える花です


  花はただ
  『生きられたらそれで十分だ』と
  私につぶやきます


羽衣を思わせる
透明な花びらは
時折 陽の光を吸いこみ
透き通る細胞の隅々まで
黄金色を住まわせては

砂金のようなきらめきを
静かにその場に残していきます


  花は空を仰いだ後
  『ひとりは怖くないものだよ』と
  私を見つめ 囁きました


迷いの無いその姿や言葉に
私は気圧されてしまい
彼女から
目を離せなくなりました


無色透明の
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