晩秋の朝/レタス
 
コトリ コトリ
秋の時計が針を進めてゆく

外を眺めれば
桜の葉が静かに紅く染まり
欅は黄色く映っている

電流のように走っていた日々は
もう過去の遺物になっていた

いまは
コトリ コトリと
秋の気配に溶け込んで
時計の針のように
静かに生きる

トーストが香ばしく焼き上がり
珈琲が湯気をたて
毎日の朝を迎える

話すことも次第に無くなり
秋のようになってゆく

妻は夏を生き
私は晩秋を生きる

雀が鳴いた

カメラを持ち出し
撮ろうと思っても
その動きに間に合わない

もう そんな歳になったのだ
珈琲とトーストが肩を抱き締め
秋の朝を迎える



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