落ちない泥/モリマサ公
 
結局ビリヤードにはいかなかった
じゃんけんはチョキからはじまる

今朝の夢は
このあいだ川に流した軽い子猫の死体を食べる夢だった
きがついたらそのぶちの子猫をかじっており
毛の内側のからだのようなレバーのような部分を
くちから戻す事ができなくて
かみながら飲み込もう飲み込もうとして目が覚めた

地上に落ちる寸前の雪がふたたび浮かび上がる

さりさりと浅い雲のはらが
「朱色の次のまちのあかり」で浮かんでいる
誰かに会いたいような気持ちがしてスニーカーを履く
履いた

「おれたち」や「あたしたち」の体のひとつひとつが
炊き出しのスープをすする
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