フレンチトーストとピアノ弾き/りゅうのあくび
まるで天使の翼が
舞いながら
羽ばたくあいだのように
白い鍵盤は月明かりを
灯すみたいにして
黒い鍵盤は夜空に
溶け込んでいた
眩しい音色は鳴ることを
少し休ませながら
ようやく先生が
まだ異国にいたころの昔話を
弟子たちにしてくれていました
夜明けを待ちながら
ショパンを聴きたいとかで
近所にあるパン屋のマドモワゼルから
フレンチトーストを
差入れしてもらって
そのお礼にノクターンを
アップライトピアノで
弾いたときだったかしら
いつものように
独りで朝食を取るより
朝刊の新聞に書かれたNEWSを
知りたいこともあって
ちょうどマドモワ
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