舞台の中で生きるように/葉月 祐
 





赤い太陽との抱擁を済ませ
黒い月のスポットライトの下に潜り
透明な音譜に髪を靡かせながら


白い台本の世界の 夜の扉をひらく


ヘッドライトが生み出す一瞬の星座
頭上の宝箱には ガチャリ 鍵がかけられた

月の輝きも 星のうつろいも
雲の向こう側へと捌けていった


視線を平行に保ち
心を水平にすれば
身近な世界は
傍で瞬きを繰り返している


起きながらに迷い込む 小さな夢の国
境目は常に曖昧で
だからこそ際立つのが現実ってものだ


人生はいつも舞台の上で
リハーサルなんて無い
私は白紙の台本を握り 新しい夜へと向
[次のページ]
戻る   Point(2)