手紙/為平 澪
私をあまり怒らせないでくれないか
おとなしく愛の詩集を手にするときに
透き通る言葉を考えようとするときに
人の郵便物を盗み見る者たちよ
その手紙には父の遺言が
その手紙には母の筆跡が
私宛に届く予定
封筒の鍵を抉じ開けた者たちよ
私をあまり怒らせないでくれないか
人が組織になったとき
そこに、家は無く、居場所無く、
闇雲に戦場が広がるだけ
弱者を叩き
弱者の声をねじ伏せ
弱者を更に弱者足らしめようとする
矮小な町の村長様、局長様
お偉方のあなた様方が
小娘宛の手紙一つが気になるなんて
両親の想いを踏みにじるだなんて
人の親ともあろう方々
人の親にもなろう方々
人が組織になる前に
人が組織になった時
どうか私をこれ以上
怒らせないでくれないか
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