季節/鷲田
黒く世界を支配する夜の空
月は宇宙を彷徨っている
感情は深く、深く
悲しみの涙を流し
落ちた水滴は雨となり地面を濡らす
意味は分裂され
言葉は空白の余韻に打ち砕かれて
死ぬ
昨日の日常
過ぎ去る時間の経過に祈る日々
道路の渇きを濡らす波の潮
人間の歩む道は彼方が見えない
季節は忘却という贈り物を届ける
また1年という一直線のベクトルが
楕円を描き、太陽に反射する
秋の紅
一匹の蜜蜂が飛んでいる
あれは灼熱の夏の残像だ
それは一つの罪と
一つの希望だ
痛みと共に音は運ばれていく
甘い蜜を求めて
生命のエナジーが燃えている
あの夏は揺らめいていた
この秋は固定されている
春は忘れた
冬は眠ったままだ
やがて朝が来る
緑の息吹はその爽やかさに微笑む
夜は物語に溢れていた
感情は嘘を付き、感覚は感じすぎて麻痺をした
陽が明るい
眩しさは視界を光で覆う
太陽が昇ってきた
新しい季節は始まりを告げる空の声だ
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