栞/深水遊脚
詩集が取引される市場の
絨毯が敷いてある休憩所に
サイダーを飲みながら寝そべる
脇にはさっき買ってくれたお客さんたちと
カフェラテと誰かが勝手に名前をつけた猫
もう売り場に戻らないと店主に大目玉を喰らう
そんな私をじっとみて
「私と仕事とどっちが大事なの?」
と言って欲しいような欲しくないような
値段のつかない空想としばし戯れながら
鳴き真似でカフェラテの気を引くけれど
ふいと顔をそむけて本棚の隅に歩き出す
いいかげん戻りなよとお客さんたちの目
了解
今日も忙しいのだ
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