解放の森/葉月 祐
その森は 迷う為の場所で
正しさや真っ当さ
綺麗な水 清潔なもの
そんな美しさを含むものが
自分の中で過剰に飽和した時に
一旦総てを遮断する為の
聖域であり 墓場でもある
知っているよ
綺麗な水だけでは
魚は生きられずに絶命する事を
人もまた
綺麗なモノゴトだけでは
滑らかに生きられないという事実も
頭を抱え 泣き崩れる寸前の
わたしの前にだけ
その森は現実の焼き増しを行いながら
足音も立てずに訪れる
その中に厳しさと苦悩の道を敷いて
その先に開かない希望の扉を用意している
そこは 飽和を解き放つ為の場所
わたしは 白い扉に背を預けながら
緑の天を見つめ
折れた羽根の修復を試みている
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