斜視のくだる翡翠/
白島真
浮いている
圧(の)しかかる重力
月は平衡する
走る遠景を
雨の滴で回避して
狂っている
歩行する緑の
あらがう能役者が噂する
平成の螺子(ネジ)
とまらない
化粧するのは
天気予報に虹鱒の老い
すさび
五日後の直滑降で
ふるえる予知夢
揺れている
生まれてこのかた
鸚鵡鳥のように
斜視のくだる翡翠(かわせみ)
色のない万華鏡を片手で回すな
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