街が回りだしたのだ/天野茂典
 

  立ち眩みがする
  ぼくは街の中でしゃがんでしまった
  しばらくそっとしておく
  歩けない
  アヒルのようにも
  吐き気はない
  街が回りだしたのだ
  さけびたかった
  助けて欲しかった
  でも誰もが通り過ぎていった
  詩を書こうとした
  立ち眩みの詩を
  街が詩だった
  ぼくはおもむろに起きだした
  目が回らなかった
  それにしても街はクールだ
  ローカルバスで帰宅したらぼくも
  クールな詩を書こう
  群衆の中の孤独なぼくよ




            2005・03・02
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