黒い瞳の君へ/レタス
 
黒曜石の瞳を閉じて
秋風とともに往ってしまった君は
そろそろ成層圏あたりにいるはずだ

ただ
ぼくにできることといえば
天空にそびえる岩壁をノロノロとよじ登るだけだった
君に届けとばかり
ハーケンを打ち鳴らし
その名前を叫ぶだけで
君は振り向いてくれもしない

あれほど求め合い
抱き合っていたはずなのに
脇腹をロンギヌスの槍がぼくたちを貫き
硝子のように砕け散ってしまった

往ってしまった君と
地に張りつけられたぼくとの距離は
遠のくばかりで
眩しい太陽がぼくをあざ笑い
月は冷たい眼差しで歌う

昼夜の境もなく
ノロノロとぼくは君を求め
晴雨の境も無く
ぼくは君の名を叫び続ける

たとえ救いはなくとも













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