寂しい嵐/ゴースト(無月野青馬)
 
寂しい嵐が吹き荒れた
ごぅごぅと吹き荒れた
樹木は根こそぎ吹き飛んだ
樹木は根こそぎ吹き飛んだ


暴風に巻き上げられる木々
りんごのような実を落とす
まだ成熟してしない実を
りんごのような実を落とす


抉れる地面
棚引く事物
箒、塵取り用をなさぬ
激烈な時


嵐野の闇夜を行く
森を木々を守るため
若い樹木を守るため
彼等の元へひた走る


けれど
一向に近付けない
まるで目に見えないブロックが
行く手を遮っているかのように
反射しているかのように


森の木々は決壊に
巻き込まれて実を失う
若い樹木も結界に
巻き込まれて吹き飛んだ


寂しい嵐が吹き荒れた
森は神秘を失った
木々は真皮を失った
剥げてバラけて転がった
山火事の跡のようになった


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