甕の底から/田中修子
お父さんは
甕にめだかを飼っています
夏 陽射しをまともに受け
お水ゆだってあえいでるめだかの夫婦
あんまり可哀そうで私
みどりのホテイさま浮かべたよ
めだかたちほっとして
こづくりできたのおめでただ
あたまのいいおにいちゃんと
はねっかえりのいもうとと
ひらりゆらぐ橙の尻尾きれいだな
ふふ 家族ってすてきだな
秋のはじまりお父さん
いっぱいに栄えたホテイさま
見栄えよくって刈り込んだ
その次の日しんと冷え
めだかはぜんいんのうなった
ただ ホテイさまだけがぷかぷかと
浮いていらっしってさみしいな
冬には甕は凍るでしょ
めだかの家族のお骨抱きしめ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)