なんてことない一日/初代ドリンク嬢
 

病院の待合室で
子供をお利口にするための薬を
待ちながら
私はどんどん小さくなって
周りがどんどん大きくなって
それとも私が透明になっているのか
どちらかはわからないけれど
私の存在は
見えなくなったようだった
ソファの上で
端っこに身を摺り寄せた
「吉村さ〜ん」
と呼ぶ看護師の目に
私は入っていなかった

薬はあきらめて
家に帰った

小さなアンパンマンの茶碗にご飯を装う
ついでもついでも
ほんの一握りのご飯茶碗はいっぱいにならない
四合も炊いたご飯は
どんどん減っているのに
それでも
その茶碗はいっぱいにならない
悲しくなって
大声で泣きたいのだけれど
必死にご飯を装った

今度は
あきらめられなかった
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