鍵のかかる部屋/為平 澪
 
西日の射す部屋で
裾に黒い炭を付けたレースカーテン
輝きながら汚されていくことを思う

私は寂しい
ベッドの位置から進むことも退くこともできず
手のひらに収まる程の空気の厚みにすら押し潰されそうになる
時が頭の中を切り刻み 身体は痙攣している

数時間前の蛇同士の絞死刑の痕の嬌声
あ、の音をコップの水では飲み干せないまま
動けない四肢から床に深く埋葬されていく
あとからきてあとかたもなく過ぎ去っていくものの名を
片づけられないまま天井に答えを探す

(音の鳴るものは悲しいです。
(ケイタイとかスマホとか扉とかロックされて終わる声とか。


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