白のブルース/Lucy
 
鏡にはもうなれない
自分一人の孤独でたくさん

しろく濁った湖は
誰の寂しさも映し出さない
あなたが思い出す
残酷な恋に死ぬまで踊る
赤い靴を履いた少女は
どこにもいない

存在が皮膚を爛れさせ
世界はアレルギーのように
私を馴染ませなかったから
あなたになりたかっただけ
強くて賢くて寂しい人に

アラスカの荒野で
いきだおれるのが理想だなんて
きざなこと言って
寂しがらせた

今はわかるよ
アラスカになんか行かなくたって
吹雪にまかれ
方向も見失い
たった一人で死を待つあなたに

手を差し伸べる代わりに
私は歌う
あなたのために
あなたの耳には聞こえない
白い白い吹雪の歌を









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