清潔な納屋/春日線香
 
ふいに風が吹いて
窓がごおごおと揺れているのがわかった
中にいるわたしは本を読むのをやめて
少し水を飲んでから
また読めもしない本に顔を戻す
本の中では狂った男が
ひとりきりで清潔な納屋に暮らしている
狂った男が顔を上げると
わたしが薄笑いを浮かべているので
どちらがどちらを見ているともいえず
二人ともが十分に満たされて暮らしていることだ
それがずっと続いているということだ
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