男の友情/zenyama太郎
あいつとはいつもぶつかりあった
飲むといっそう意見をたたかわせた
お互いに一歩も引かなかった
喧嘩別れもしばしばだった
お互い心の中では信頼しあっていたが
口に出すことはなかった
あいつに最後に会った時は
仕事も順調で自信にあふれていた
俺よりもずっと先を歩いている感じだった
あのタフだったやつが
あっという間に逝くとは…
スキルス胃ガンだった
「親よりも先に逝く親不孝はないぞ」
とふだん気丈夫なあいつのオヤジに泣きつかれた時は
言葉が出なかった
ラグビーのタックルのようにぶつかりあったあいつは
もういない
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