夢のなかに生きる/天才詩人
僕には出会うべき人々がいる。暗がりのマンションの一室を通り過ぎると、光がさんさんと差してくる。そこには道がある。砂利で未舗装の、木製の電信柱がポツポツと連なる、細い道。水溜りが、雨上がりのススキ野を映しだす、人里離れた村の農道。いや、それは郊外の原っぱに建設中の、建売住宅の用地から見た、田園風景なのかもしれない。とにかく、僕はその道を進む。空から光がさし、それはたったいま過ぎてきたマンションの一室の、子供部屋にも、たぶん届いている。場所は1970年代、北米の大都市の郊外にある、ショッピングモールに移る。そこには高速エレベータを模したフリーフォールという絶叫マシーンがあり、地上45メートルから降下す
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