原口昇平『声と残像』を読む(1)/ななひと
原口氏の詩集を拝受。さっそくというにはかなり遅ればせに手に取った。タイトルは『声と残像』。一読して戻ってきてみると益々その感を強くするが、このタイトルは暗示的だ。暗示、というより過剰でさえある複数の意味の重なる場。織り集めとしてできているがそれは「声」であり「残像」でしかなく実体をもたない、濃密な希薄だ。「声」と「残像」この二つの取り合わせは、この詩集に収められた詩の方法を既にして内包している。「声」は音であり、「残像」は映像、しかしともに実体をもたない写像というところで結びあわされる。この、組み合わないものが組み合うところに「何か」が現れる。不釣り合いな部品が組み合わされて、不釣り合いなのは変わ
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