◎漆黒の詩吟/由木名緒美
暁を知らせる天地
遊ぶ鬼火をくゆらせ
終末の起源を幾度となく反芻する
咀嚼された付加価値は時として
勇猛たる鷹の回遊する軸を吟じ
成長のとどろき 不変の河
木の芽をついばみ小枝へと飛ぶ羽ずれは
その窓辺で思案する
膠着した構築(システム)の出口を示唆するマグカップの湯気を
物珍し気な眸で見つめる
空の臍が見つめるのは
直立した影との交わり
今朝 私を先導して歩いた闇は
胸腔で極彩色の光を乱舞させているのだろうか
西空を見れば観音雲
一つ一つの巣を夕焼けで染め上げ
家路へと急ぐ幼子の幻視が
擦り切れた革靴の周りを駆けまわる
深夜、闇は孤高の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)